内科、整形外科、リハビリテーション科、各科の医師、看護師、放射線技師、作業療法士、医療事務など、さとやま整形外科内科の医療スタッフがコラムを綴ります。患者様のお役に立てられるようなテーマで記事を執筆しています。
さとやま整形外科内科院長が贈る本コラムでは健康に関する雑話や豆知識などをいろいろご紹介していきます。
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運動と健康シリーズ②「運動不足は重大な健康リスク」
今回は運動不足の健康被害に関するいくつかの疫学成績をみることで、運動の重要性を考えてみましょう。
皆さんは「肥満」と「運動不足」では、どちらが健康被害が大きいと思いますか?ヨーロッパの30万人を12年間追跡した結果、「運動不足」の方が2倍死亡率が高かったのです。
「肥満」は糖尿病や高血圧など生活習慣病の温床となることは皆さんご存知のことと思いますが、「運動不足」はそれよりさらに大きい健康リスクであるということです。
もう一つは、ロンドン名物の2階建てバスの運転手と車掌を比較した有名な成績です。階を上がったり下りたりする車掌に比べ、じっと座ったままで動かない運転手は狭心症や心筋梗塞が2倍高いという成績でした。
さらに「座位時間が長い」ことと「運動時間が短い」ことの有害性を比較した成績があります。
同じ座位時間でも運動時間が長ければ死亡率が低くなる事が分かりました。
このことは「長い座位時間」より「短い運動時間」の方がより有害であることを示しているのです。
と同時に運動を続けることで座位時間の負の効果を減らすことができるということです。
成人の平日の座位時間を世界20ヶ国で調べると、最も長かったのは日本人で1日7時間と報告されました。
「座り過ぎの死亡リスクは最大40%」と言われており、動かないこと自体が最大の健康被害であることを心に留めて、活動的な生活を工夫しましょう。
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さとやま整形外科内科 院長 稙田太郎
インスリン抵抗性に関し、日本でいち早く人工膵臓を駆使して臨床研究を展開。 医学博士号取得、元日本糖尿病学会専門医、指導医、功労評議員。
2022/09/01 Wrote